9月
過払い金と消滅時効
別の記事「画期的な判決」というところで解説したように、現在の過払い金返還請求というのは、最高裁判所の判例が根拠になっています。判例というのは非常に重んじられるので、以後同じような訴訟があった場合にはその判例が適用されることになり、最初から勝敗が分かっているのです。
さて、この「画期的な判決」というのは2009年1月22日に最高裁判所が判決を出した「不当利得返還等請求事件」のことで、「平成20(受)468」という事件番号がつけられている伝説の判決です。この判決ではグレーゾーン金利が無効であり、過払い金があるのであれば返還しなければならないという主旨が述べられているのですが、もうひとつ見逃してはならない文言があります。
それは「上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する」というもので、これを分かりやすく言い換えると借金が完済された時点から消滅時効の時計が進行するということになります。消滅時効というのは民法に規定されているもので、10年を経過した債権や権利などは返済を求めても返す必要はないという内容になっています。
この文言により、過払い金請求は完済から10年以内でなければならないという重要なオマケがついたのです。
8月
画期的な判決
by writer in 過払い金
過払い金が発生してしまう元凶として、以前から指摘されてきたのがグレーゾーン金利です。利息制限法という本来適用されるべき法律の上限金利が無視され、本来は消費者金融などを想定していない出資法という法律の上限金利が適用されてきたために発生したのがグレーゾーン金利で、借りている金額によっては金利の差が倍近くにもなるというケースもあります。
なぜこのような“違法状態”が黙認されてきたのでしょうか?そこには、「みなし弁済」と呼ばれる悪しき慣習があったからです。この「みなし弁済」というのは、利息制限法の規定を超える高金利であっても、借りる人が納得しているのであればその金利は有効である、とする考え方です。
しかし、この「みなし弁済」が長らく放置されてきたことに対する批判が高まり、さらに高金利に苦しむ人が続々と債務整理を余儀なくされている現状により、全国各地で「みなし弁済」の無効を求める訴訟が起こされました。
この裁判は最高裁判所まで持ち込まれて争われたのですが、最高裁判所はグレーゾーン金利の存在を認めず、「みなし弁済」も無効であるという判断を下しました。要するに消費者金融の全面的な敗北という結果になったことで、この判例を契機に過払い金を取り戻す動きが日本全国に広がったのです。
7月
グレーゾーン金利は、なぜグレーなのか
by writer in 過払い金
利息制限法と出資法という2つの法律の間にある限りなくグレーな金利、それがグレーゾーン金利だということは、別の項で解説しました。そこでも少し触れましたが、そんな違法状態がなぜ長期間にわたって放置されてきたのでしょうか?法というのは厳格に運用されるべきなのに、こと上限金利については非常に甘いという印象をぬぐえません。
この理由には諸説ありますが、消費者金融、かつてのサラ金というものがここまで社会問題化するということが当初は想定されていなかったことが大きいと思います。もちろん以前から多重債務の問題や自己破産の増加など、債務超過に関わる問題が無いわけではありませんでした。しかし、それはあくまでも経済感覚の鈍い人だけの出来事であって、普通に仕事をして身の丈に合った生活をしていれば関係のないこと…こんな認識が圧倒的でした。
しかし、時代は変わってバブルが崩壊、さらにリーマンショックやサブプライム問題など、世界を不況という波が覆うようになると、それが日本にも波及してきました。
日本各地で生活苦による多重債務や債務整理などの問題が大きくなり、消費者金融という業態に対する批判が集まるようになりました。金利はもっと低く規制するべきという気運が高まってくるとグレーゾーン金利にも関心が集まり、これを是正すべきという声も大きくなり、ついに法改正、そして最高裁判所でもグレーゾーン金利を無効とする判決が確定したのです。過払い金請求という波は、全てはここから始まりました。
6月
グレーゾーン金利
by writer in 過払い金
利息制限法と出資法、2つの法律が別々に定めている上限金利。利息制限法には違反していても出資法は遵守している…そんな金利が長らく存在していたのです。違法と合法の間にあるので、このような金利はグレーゾーン金利と呼ばれてきました。
ちなみにグレーゾーン金利どれくらいの利率なのかと言いますと、出資法の規定である29.2%から利息制限法が定めている上限金利を差し引いた数値になります。利息制限法が定めている上限金利というのは一定ではなく、借り入れをしている金額によって変動します。
具体的には10万円未満の借金であれば20%、10万円から100万円未満で18%、そして100万円以上になると15%です。100万円以上の借金がある人にとっては、上限金利はなんと出資法の約半分です。これではなかなか返済が進まない上に、ひどい場合は返済不能に陥ることがあっても不思議ではありません。
ちなみに、出資法の上限金利は高いと思われていますが、これでも低くなったほうです。昔は40%、もっと前は50%を超えていたことも本当にありました。今では考えられないことです。
ここではまず、グレーゾーン金利の算出方法を押さえておいてください。借金の金額によっては意外に大きな金利差があるということも感覚的に持っていただけると良いでしょう。
5月
利息制限法と出資法
by writer in 過払い金
過払い金というのは、法律の盲点が生み出した副産物です。それでは、過払い金を法律の面から解説していきましょう。
消費者金融などがお金を貸し付ける時の金利というのは利息制限法という法律で厳しく規制されています。利息制限法の規定を超える金利は違法であり、無効です。しかし、実際には利息制限法が定めている最大20%の金利をはるかに上回る金利での貸し付けが長らく行われてきました。違法なのに、です。
なぜそんなことをしても逮捕者が出ず、あたかも合法的に金融業が続けてこれたのかと言いますと、そこには出資法という法律の存在が関係しています。本来はお金の貸し付けに関わる法律ではないのですが、出資法によると上限金利は29.2%であるとされています。一方の利息制限法には罰則がありませんが、出資法には罰則があります。金融業差はここに目を付けて、罰則がある出資法の規制を守るという形で金利を設定してきたのです。つまり、利息制限法は無視されてきたのです。
違法状態が黙認されてきたのは、このように2つの法律を並立させてしまった国にも落ち度があったためです。まさに2つの法律の盲点、間隙を突いた巧妙なテクニックです。
しかし、こうした金利に関する法整備が進められる中でこのような二重構造は解消されています。
4月
過払い金が発生するワケ
by writer in 過払い金
過払い金というのは、そのまま意味を理解すると「払いすぎたお金」ということです。どんなものでも1円でも安いほうがいいというのは誰もが思うことなので、払いすぎるというようなことが現実に起こり得るのかという疑問がありますが、それが実際にあったのです。しかもかなりの人数が、かなりの金額を払いすぎており、その規模の大きさゆえに社会問題にまで発展しているのです。
さて、そんな膨大なお金を払いすぎている物好きはいったいどこにいるのかと言いますと日本全国で消費者金融、クレジットカードなどでキャッシングをしてきた人たちです。もう少し正確に言うと、今から数年前くらいまでにこうしたサービスを利用していた人ということになります。もちろん現在も借金が残っている人であっても、今述べたような時期に借金があったのであれば該当します。
こうした人たちは金融業者からお金を借りる時に一定の利息を払ってきたはずですが、その利息が、実は違法な利率だった可能性が高いのです。違法であるにもかかわらずその金利が放置されてきた理由は後で詳しく解説しますが、このような高金利で借金をしてきた人たちというのは、知らず知らずのうちに利息を払いすぎていたのです。これが過払い金です。